
中国は日本と異なり、個人が土地を所有することを禁じています。
中国国内の土地はすべて政府または農民が集団で保有しているからです。
中国国民は中国国内で土地を購入することはなく、その土地の「使用権」を購入しています。
あくまでも使用権であるため、土地の所有権を持っている政府が「この土地から離れなさい」と言えば、離れなければいけません。
しかし日本には中国のように政府が土地を所有しているわけではなく、適正な金額を払えば誰でも土地の購入が可能です。
つまり中国人であっても土地所有権が取得できます。
さらに昨今の円安や運用利回りの良さから、日本の土地や不動産を購入しやすい環境が続いています。
以上の理由から、日本の不動産購入する中国人が増えているのです。
中国の経済発展の恩恵を受け、中国人の富裕層が爆発的に増加しました。
たとえば中国の世界経済に占めるGDPの割合は2002年が4.4%だったのに対して、2022年には18.1%と大きく成長しています。
結果として中国国内に多くの富裕層を生み出し、余剰資金が生まれたため、海外の不動産を購入しようと考えた人が増えたのです。
さらに中国国内の市場は不安定と考えている資産家も多くおり、安定している海外市場に目を向ける人もいます。
中国人が日本の土地を購入することへの影響は、日本への利益になる面とリスクとして考えなければいけない両面があります。
中国人が多くの土地を購入したからと言って、その場所が中国になるわけではありません。
もちろん土地の所有権を保有しているのは中国人になりますが、日本国の法律を違反する行為などが確認された場合、すぐさま国は所有権を剥奪することが可能です。
また、土地を購入した際には日本への固定資産税の支払いなども発生します。
現在、中国人が購入している土地は未開発の原野や限界集落に近い場所が多いため、こうした地方や国が新たな資本を獲得できるのはプラスの要素であると言えます。
また、日本は円安に代表されるように、国内への投資意欲が弱まってしまっているため、新たな外資を流入できる点も大きなメリットです。
利益もあれば当然リスクも内在します。
たとえば環境問題やコミュニティ問題、雇用の問題などです。
中国人が購入した土地が水源地や農地であれば、水質汚染などの問題が表面化してくる可能性があります。
日本人と中国人の価値観は大きく異なるため、日本の基準で考えるとおかしいと感じることも平気で進めてしまう恐れがあります。
さらにコミュニティや雇用の問題も挙げられます。
現在、中国人の多くが購入している北海道では過疎化が急速に進行しており、このまま過疎化が進み、中国人による土地の購入が続くと、中国人コミュニティが各地にできることが予想されているからです。
そうなると治安悪化や、その土地の企業の日本人雇用が減少し、失業が増えるリスクも懸念されています。
こうしたリスクへ対応するために、政府は「重要土地利用規制法」を成立させました。
重要土地利用規制法では、安全保障を根底に置き、外国人が不適切な目的で日本の土地を利用しないように罰則や規定を盛り込んでいます。
中国人による土地の購入は利益とリスクの両面があります。
それぞれの面を適切に捉え、安易なビジネスチャンスと捉えないことも大切です。
今後も中国人による土地の購入は活発に進んでいくことが予想されます。
きちんとした対応策を整えるとともに、リスク管理の強化が求められるでしょう。